この資料のリンク
https://www.mhlw.go.jp/content/000621007.pdf
この資料を3行でまとめると
背景
N95マスクの需要が高まっており供給が追いついていないため、正しく安全な再利用や効率的な利用を促すため、この資料が4月10日、厚生労働省から発表されました。
N95マスクの逼迫した状況はむしろ欧米が先行しているため、日本は欧米での取り組みを参考にできる状況にあります。
内容
N95マスクの使用場面
エアロゾルが発生するような手技を行うとき(気管内吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)
さて、歯科治療はこれに該当するのでしょうか?
例えばCDC暫定ガイドライン、ADA暫定ガイダンスでは、エアロゾルが発生する歯科治療でN95マスクの使用を推奨しています。
N95マスクが必要なのか、サージカルマスクで良いのかの結論は出ておりませんが(結局出ないかもしれません)、少なくとも「N95マスクを装着しているから安全」ではありません。
感染経路はマスクではありません。
N95マスクの効率的な利用について
※ただし、いずれの場合においても目に見えて破損、汚染している場合は廃棄するようにしてください。
滅菌器活用等による再利用に努めること
(利用可能な滅菌法・処理方法)
3番が現実的でしょう。通気性のよい場所で干してください。
表面にアルコール等のスプレーをしたり、消毒液に漬けたりすると性能が著しく低下しますので避けてください。
・必要な場合は、有効期限に関わらず利用すること
・複数の患者に同一のN95マスクを継続して使用すること
・N95マスクには名前を記載し、交換は一日一回とすること
・KN95マスクなどの医療用マスクもN95マスクに相当するものとして取り扱うこと
KN95マスクについて
厚生労働省は、米国FDAがKN95マスク等に緊急使用承認を与えたことを根拠に、日本でも使用可能としているようです。
ちなみにNはアメリカ、KNは中国の規格です。日本はDS、欧州はEN149(FFP)と言います。
N95に相当するものがDS2とFFP2であることは確かです。
一方でKN95マスクは信頼性が乏しいとする情報もあります。
それでもKN95マスクに緊急使用承認を与えた米国の状況は、相当逼迫しているということでしょう。
もしKN95マスクがお手元にあるようでしたら使用することは否定しません。
ただ、繰り返しますが、マスクをしているから安全ではありません。
N95マスクと同等の性能を持つとFDAが緊急使用承認を出したリストはこちら
厚生労働省が挙げた項目にあえて加えるとすれば、エアロゾルが発生する処置に関係する人を限定する、といったところでしょうか。
歯科医院の場合はほとんど全員になってしまいますが…
まとめ
現状、歯科治療でN95マスクを使用するべきなのか、はっきりした科学的根拠はありません。
しかしN95マスクが必要だ、必要な可能性が高い、などのことが科学的に明らかになった場合、相当在庫が逼迫することになるでしょう。
その時にCOVID-19の診療をしている最前線の負担にならないよう、必要最小限の装備で診療に当たる事が、歯科医療従事者にも求められるのではないでしょうか。
マスクの種類についてはこちらの2つの記事を参照してください