河野雅臣 歯科医師・博士(感染制御学)

感染制御学の博士号を持つ歯科医師です。新型コロナウイルスを含む、感染対策について発信するブログです。

【改訂版】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)歯科医療機関内発生時チェックリスト

はじめに

7月27日にも、歯科医院で COVID-19 が発生した場合の対応チェックリストを公開いたしました(現在非公開)。

その後、種々の変更点や相談をいただいた事例で経験したことを踏まえ、本改訂版を作成いたしました。

 

歯科医院を取り巻く状況

本ブログを記述している 11 月 14 日現在、1 日あたりの検査陽性者数(マスコミでは感染者数と報道されているもので、厳密には異なる*1)が過去最大となっています。

 

4〜5 月頃よりも検査能力が拡大(3〜4 倍)しているため単純な比較は避けるべきですが、検査陽性率*2が上昇していることから考えても(下記リンク)、安心できる状況とは決して言えないでしょう。

 

また検査陽性者のうち、感染経路不明例が増えていることも気になるところです。

(注. いずれも東京都の数字を見ています)



歯科医院のスタッフや患者さんに検査陽性者が出る可能性は、これまでより高くなっていることが予想されます。

(風評被害が起こること自体がおかしいと思いますが、実態として)風評被害から歯科医院を守り、スタッフや患者さんを守るために、本チェックリストをぜひご活用ください。

 

実際の感染事例への対応をチェックリストに活かしています

ザ・クインテッセンス 10 月号に、私が対応をお手伝いした、某県歯科医院での感染事例の経過を記載した論文を投稿いたしました。

また、こちらの事例以外にも、公開はできませんが複数件のご相談を全国の歯科医院からいただいております。

後述しますが、歯科医院の初動対応があまり良くなかったために困難な状況に陥った例もありました。

それらの貴重な経験を通して得られた教訓を交え、チェックリストを更新いたしました。

 

チェックリストの目的

① ウイルスの持ち込みを出来るだけ防ぐこと

② 感染事例が発生しても感染拡大を出来るだけ防ぐこと

休診せざるを得なくなっても、スムーズに診療を再開できるようにすること

各歯科医院でそのまま活用できるものを目指しました。

 

目次

  • はじめに

  ・歯科医院を取り巻く状況

  ・実際の感染事例への対応をチェックリストに活かしています

  • チェックリストの目的

  ・備考

  • 概要

  ・※なぜ疫学調査への協力が必要なのか?

  • 準備期

  ・マネジメント

    体調不良時の欠勤体制の構築

    地域のネットワークの構築

    適切な助言が得られる専門家の確保

  ・疫学調査への協力の準備

    スタッフ名簿の作成

    健康管理表(発熱サーベイランス)を用いた自己管理

    接触確認アプリ(COCOA)のダウンロード推奨

    患者連絡先の確認

    委託業者等の連絡先の確認

  ・感染対策

    標準予防策、飛沫・感染予防策の実施および感染対策の教育

    院外でのハイリスクな行動を回避する

    患者待合室が密にならないような配慮、介入

    患者に対する治療時以外のマスク着用の依頼(幼児等を除く)

    更衣室や食堂、休憩室等が密にならないような配慮、介入

  ・準備期のチェックリスト(pdf 表)

  • 感染事例発生期

  ・感染事例の把握と保健所の電話調査に対する準備《重要》

  ・マネジメント

    対策チームの立ち上げ

  ・疫学調査への協力

    保健所の電話調査への準備

    接触者のリストアップ

    濃厚接触者のリストアップ

    接触者へ連絡

    接触者の PCR 検査《重要》

     厚生労働省の通達

     「自分で判断」って、どうすればいいの?

  ・勤務調整

    地域ネットワークを活用した他院との連携

    館内の消毒

    院外への情報公開

  ・感染対策

    問題点の抽出

  ・感染事例発生期のチェックリスト(pdf 表)

  ・小括

  • 診療機能回復期

  ・マネジメント

   事例全体の振り返り

   再度患者を受け入れる体制の構築

   委託業者等との連携

  ・感染対策

   継続した教育・指導の実施

  ・診療機能回復期のチェックリスト(pdf 表)

  • まとめ
  • 用語の定義

  ・患者(確定例)

  ・無症状病原体保有者

  ・患者(確定例)の感染可能期間

  ・無症状病原体保有者の感染可能期間

  ・濃厚接触者

  ・就業制限

  ・自宅待機

   これまでの歯科医療機関における感染事例から分かること

  • 参考文献
  • 著作権について

  ・使用許諾申請について

  ・著作権の侵害を発見した方へのお願い

 

お断り

これまで本チェックリストについては CC BY NC ND (引用明記、非営利、改変禁止)という著作権の条件下での使用を許諾して参りましたが、引用を明記しない無断使用、事前連絡のない無断改変等の不正使用が複数件確認されました。

当ブログでは、最も多くの方にご覧いただいていた記事ではありますが、12月1日からやむを得ず限定公開とさせていただきます。

 

ご利用を希望される方は、下記のお問い合わせフォームや Facebook のメッセンジャー、電子メール masaomikono*gmail.com (* を @ に変更してください。)からご連絡ください。
パスワードをお知らせいたします。

なお、CC BY NC ND の範囲内でのご利用には料金はかかりません。どなたが何の目的で使用するのかを把握するための措置です。ご理解いただければ幸いです。

 

お問い合わせフォームはこちら ↓

チェックリストはこちらからどうぞ ↓

masaomikono-sub1.hateblo.jp

 

*1:真の感染者数=検査陽性者数ー偽陽性者数+偽陰性者数。真の感染者数は神のみぞ知るものですが、理論上、真の感染者数>検査陽性者数です(文献15を参照のこと)。日本の対策はそれを踏まえたものになっていますのでご安心を。

*2:1 日の総検査数に対する陽性者数の割合を示したもの。検査能力や事前確率によって大きく左右されるが、基本的には検査陽性率は市中の流行状況を反映していると考えられている。
検査能力が低かった 3〜4 月では 30% を超えることもあり、補足できていない感染者が一定数おり、実際の感染者数はさらに多かったと考えられる。最近は 3% 程度を推移していたが5% 程に上昇している。