河野雅臣 歯科医師・博士(感染制御学)

感染制御学の博士号を持つ歯科医師です。新型コロナウイルスを含む、感染対策について発信するブログです。

【要確認】濃厚接触者等の取扱が変更されました【1/5、1/9、1/12、1/14、1/18 追記】

2021年12月27日に、厚生労働省から「B.1.1.529 系統(オミクロン株)が確定又は L452R 変異株 PCR 検査陰性が確認された患者に係る濃厚接触者等の取扱いについて」という文書が発表されています。

また、1月14日には、オミクロンに対して新しい取扱基準が発表されました。

抜粋して解説いたします。

 

 

オミクロンの濃厚接触者に対する新しい取扱基準 ←New!!(1月14日追記)

1月14日、厚生労働省から「B.1.1.529 系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」という文書と、「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について」という文書が発表されました。

前者は国民全員、後者は医療従事者やエッセンシャルワーカーに適用されます。

バラバラに読むと混乱するので、以下のように簡単にまとめてみました。

 

全ての濃厚接触者

最終曝露日から10日間、外出の自粛要請

 

エッセンシャルワーカー

最終曝露日から6日目まで外出自粛要請

  1. 6日目に PCR 検査または抗原定量検査で陰性を確認したら解除
  2. 6日目と7日目の両日とも抗原定性検査で陰性を確認したら解除
医療従事者

毎日検査*1して陰性を確認すれば外出自粛は求めず、就労継続も可能

  1. 6日目に PCR 検査または抗原定量検査で陰性を確認したら解除
  2. 6日目と7日目の両日とも抗原定性検査で陰性を確認したら解除

 

オミクロンの感染拡大のスピードがあまりにも早く、重症者による医療逼迫ではなく、医療人員の不足による医療逼迫、エッセンシャルワーカーの不足による社会機能の維持ができない、という問題に対応するための苦肉の策、となっています。

ただ、抗原定性検査キットが不足する事態に陥っている自治体もあるようで、難しいところです。

 

なお、オミクロンか否かについてはゲノム検査が必要ですが、地域の検査陽性者のうち、オミクロン占有率が70%を超えた場合、都道府県の判断で全てオミクロンとして取り扱っても良い、ということになっています。

 

「濃厚接触者未満、接触者以上」

これまで、COVID-19 患者との濃厚接触があった人に対して、検査と14日間の自宅待機が要請されてきました。

ところが今回、オミクロンの感染力の強さを考慮して、以下のような新しい取扱が暫定的に追加されました。

4. 3. 以外の接触者の取扱について

以下の1から4までに該当する者であって、3. の濃厚接触者に該当しない者について、更なる科学的知見が得られるまでの間の当面の対応として、検査を行うとともに、14 日間の不特定多数との接触自粛を呼びかけていただくよう、お願いします。

1. B.1.1.529 系統(オミクロン株)であることが確定した検査陽性者(2~4 において「感染者」という)からの物理的な距離が近い(日常的に滞在する部屋が同一、座席が近いなど)者

2. 物理的な距離が離れていても感染者と接触頻度が高い者

3. 寮などで感染者と食事の場や洗面浴室等の場を共有する生活を送っている者

4. 換気が不十分、三つの密、共用設備(食堂、休憩室、更衣室、喫煙室など)の感染対策が不十分などの環境で感染者と接触した者

※ 法第15条に基づく調査として、SARS-CoV-2 に対する核酸増幅法等の検査を行うことを想定しています。

※ 上記1~4の者については、保健所自らが聞き取りによりその範囲の特定を行うことを原則としますが、陽性者が確認された事業所等が、保健所業務の補助として、本人の同意を得た上で、候補範囲を特定し、候補者リストを保健所に提示することにより、保健所が適切と認定した範囲とすることも可能とします。

 

濃厚接触者とまでは言えないが、接触の度合いがそれなりだった人(以下、本ブログでは”中濃接触者”とします)も、14日間は不特定多数との接触を自粛するよう要請されることになりました。

 

例えば歯科医療従事者の場合、歯科治療の環境が 1. に該当すると判断される可能性があります。特に従業員の誰かが感染者であった場合、従業員全員が”中濃接触者”に該当すると考えられます。

”中濃接触者”に対しては、14 日間不特定多数との接触を自粛するよう要請されるので、濃厚接触者と認定された場合と同様、14 日間診療に出られなくなるということを意味します。

 

気になるのは、マスクの有無に関する記載がないことです。

記載を見る限り、暫定的に空気感染を想定した対応となっているようです。

最終的に保健所がどのように判断するのか不明ですが。。。

 

実際の運用は... ←New!!(1月18日 追記)

最近は歯科医院での感染事例の発生が増えており、相談件数も増えております。

その時の保健所の対応を聞く限りでは、”中濃接触者”を意識している様子は伺えません。

これまでも感染者数が増えると、忙し過ぎて歯科医院への調査は薄くなりがちでした(批判ではないです)。よりハイリスクな老人福祉施設や病院にリソースを配分しているのでしょう。

確かに歯科医院内部で感染が広がっても、社会的インパクトは相対的に大きくはありませんから、合理的な判断かもしれません。

 

詳しくは言えませんが、オミクロン、簡単に広がりますね。

 

接触者

5. 3及び4以外の幅広い検査対象者について

「SARS-CoV-2 の変異株 B.1.1.529 系統(オミクロン株)について(第 4 報)」(令和 3 年 12 月 15 日、国立感染症研究所)におけるオミクロン株に関するリスク評価を踏まえ、マスクの着用の有無や接触時間、換気等にかかわらず、同一空間を共有した者については、更なる科学的知見が得られるまでの間の当面の対応として、以下の①及び②の事項について呼びかけるとともに、感染拡大の範囲について把握していただくよう、お願いします。

なお、積極的疫学調査の結果、陽性者の行動歴が検査対象となる範囲外にまで及んでいた場合には、行動に応じて一定の感染リスクを認めた複数の場所や集団に対しても、同様に以下の①及び②の事項を呼びかけていただくよう、お願いします。

特に、不特定多数の者との接触が考えられる場合には、派遣専門家とも相談の上、 厚生労働省など関係者と連携し、例えば、接触の場や日時の公表を行うことにより、幅広く呼びかけを行うことについても検討いただくよう、お願いします。

 

① 体調が優れない時には、医療機関を受診し、新型コロナウイルス感染症の可能性について診断を受けること

不要不急の外出や不特定多数との接触を伴う会合の自粛(例えば、普段接触しない人との飲食や旅行等。ただし仕事による不要不急ではない外出は除く。

 

※ 呼びかけの期間は、陽性者の行動歴等に照らして接触の機会(同一空間を共有した等)と考えられる日から 14 日間とし、必ずしも個別の対象者の特定は要しないものとします。

※ 建物の構造やその内外における動線、実際の交流の程度・状況により、派遣専門家とも相談の上、無症状者に対して検査を行うこととし、不特定多数との接触自粛の呼びかけを行うことも差し支えありません。その際の検査は、行政検査として実施することも可能です。

※ 医療機関を受診した結果、新型コロナウイルス感染症に診断していたことが判明した場合には、当該呼びかけの主催者に報告いただくことも検討してください。

 

感染した患者さんが受診した場合、こちらに該当すると考えられます。

この場合、検査を受けることが求められますが、診療を制限する必要はありません。ただ、仕事以外の行動の自粛は求められます。

 

歯科医院として注意すべきこと

これまでは、感染しないようにすることはもちろんとして、濃厚接触者に認定されないように気をつける必要がありました。そこまでハードルが高いものではなく、十分対応出来てきた歯科医院が多いのではないでしょうか?

 

しかし”中濃接触者”は結構やっかいです。

従業員が感染すれば、他の従業員が全員”中濃接触者”と判定され、14日間不特定多数との接触の自粛を要請されることになりそうです(最終的には保健所の判断次第です)。

 

オミクロンに関してさらなる知見が得られるまでの暫定的な措置、ということになっています。

いずれなくなるということも考えられますが、恒久的な措置になるかもしれません。その間のどこかが着地点になるかもしれません。

この辺りは続報としてまたブログを書こうと思います。

 

”中濃接触者”と認定されないための方法は...

正直ありますが、ここには書きにくいので直接ご連絡ください(以下のリンクから)。

脱法的な手法ではありません

 

実際の運用は... ←New!!(1月18日 追記)

最近は歯科医院での感染事例の発生が増えており、相談件数も増えております。

その時の保健所の対応を聞く限りでは、”中濃接触者”を意識している様子は伺えません。

 

他に起こりうること ←New!! (1月5日追記)

現在政府のコロナ対策は、新しい社会のあり方を模索する形で、従来の新規感染者数や病床占有率を元にしたステージ分類から、医療の逼迫状況を主体としたレベル分類へと変遷しています。

第5波以降、病床の拡充等の医療体制の強化が行われてきました。

デルタよりも病原性が低く感染力が強いオミクロンの流行がメインとなるであろう第6波では、病床が逼迫するまで新規感染者数の増加を許容することになります。

ただ、早くも沖縄でまん延防止措置が取られる見込みとなっており、レベル分類はどこにいったのか...?という疑問もあります。

個人的にはまん防適応は正しい判断だと思いますので、レベル分類の見直しが必要かと思っています。
対デルタにはレベル分類はとても良いと思っていましたが...。オミクロン恐るべし、です。

したがって、第6波では入院には至らない感染者が市中で増加することになります。

 

また、政権の動きが遅く医療従事者や高齢者のブースター接種、5-11歳の子どものワクチン接種が進んでおりません。

よって、次のような未来が容易に予想されます。

 

幼稚園や保育園、小学校で感染者出現

⇨ 他の子どもが濃厚接触者・”中濃接触者”になる

⇨ ① 保護者が出勤できなくなる ⇨ 社会機能の低下

⇨ ② 祖父母(高齢者)に子どもの世話を託して保護者が出勤 ⇨ 抗体価の下がった祖父母にブレークスルー感染 ⇨ 子の精神的ダメージ

 

歯科医院としては、従業員が感染あるいは濃厚接触者になった場合や、子を持つ従業員が出勤できなくなることを想定した BCP 策定が必要です。

BCP : Business Contiuity Plan、事業継続計画

こちらを参考にしてください。


国家試験 ←New!!(1月9日 追記)

国家試験における感染者・濃厚接触者の取り扱いが公表されています。

spee先生のブログでご確認ください。


受験日2週間前から対面授業はやめたほうが無難かと思います。

ところで ”中濃接触者” はどうなるのでしょうか...?

 

医療従事者に対する特例 ←New!! (1月12日追記)

条件と注意事項を満たせば、医療従事者は濃厚接触者でも就業可能となりました。

 

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*1:PCR検査または抗原定量検査が望ましい。やむを得ない場合は抗原定性検査でも構わない